風営法の保全対象施設と距離制限とは|学校・病院などから何メートル離せば許可される?

風俗営業の許可を取得する際に、店舗の場所について必ず確認しておきたいのが、「保全対象施設」と「距離制限」です。
「この物件でキャバクラを開業できると思って契約したのに、近くに学校があるため許可が取れなかった」
「店舗の近くに病院があるが、何メートル離れていれば風営法上問題ないのか分からない」
このようなケースは、風俗営業の許可申請では決して珍しくありません。
風営法では、営業所の構造設備だけでなく、営業所の所在地についても厳しい規制があります。
特に重要なのが、
- 保全対象施設とは何か
- どの施設が保全対象施設になるのか
- 距離制限は何メートルなのか
- どこからどこまでの距離を測るのか
- 東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県などで違いがあるのか
- 物件を契約する前に何を確認すればよいのか
という点です。
この記事では、風営法専門の行政書士が、風営法の保全対象施設と距離制限について、開業前に知っておきたいポイントを分かりやすく解説します。
風営法の「保全対象施設」とは?
| 学校 | 幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学、盲学校、養護学校など |
| 図書館 | 地方公共団体、日本赤十字社、一般社団法人、一般財団法人が設置するもの |
| 児童福祉施設 | 児童養護施設、保育所、助産施設、児童発達支援センターなど |
| 病院 | 歯科医院を含む医療施設で病床が20以上のもの |
| 診療所 | 歯科医院を含む医療施設で病床が19以下のもの |
保全対象施設とは、簡単にいうと、風俗営業の営業所を設置する際に、その周辺の風俗環境や少年の健全育成などを保護するため、一定の規制対象となる施設です。
風営法では、風俗営業の許可について、営業所が一定の地域内にある場合には許可できないことが定められています。
具体的には、風営法第4条第2項第2号において、営業所が「良好な風俗環境を保全するため特にその設置を制限する必要がある」ものとして、政令の基準に従い都道府県条例で定める地域内にある場合、許可できないとされています。
つまり、風営法の許可を取得するためには、
「営業できる用途地域なのか」
だけではなく、
「近くに保全対象施設がないか」
も確認する必要があります。
風営法の「距離制限」とは?
距離制限とは、簡単にいうと、
「営業所から保全対象施設までの距離が一定距離以上離れていなければ、風俗営業の許可を取得できない」
という規制です。
例えば、ある地域で学校が保全対象施設として指定され、営業所との距離について一定の基準が定められている場合、その基準を満たさなければ許可を取得できない可能性があります。
ここで重要なのは、距離制限は全国一律ではないということです。
風営法は国の法律ですが、営業所を設置できない地域については、政令の基準に従って都道府県条例で定められる仕組みになっています。
商業地域の場合
| 学校(大学を除く)、図書館、児童福祉施設(助産施設を除く) | 50m |
| 大学、病院(第1種助産施設を含む)、診療所(8人以上の患者を入院させることができる施設) | 20m |
| 第2種助産施設、診療所(7人以下の患者を入院させることができる施設) | 10m |
近隣商業地域の場合
| 学校(大学を除く)、図書館、児童福祉施設(助産施設を除く) | 100 m |
| 大学、病院(第1種助産施設を含む)、診療所(8人以上の患者を入院させることができる施設) | 50 m |
| 第2種助産施設 、診療所(7人以下の患者を入院させることができる施設) | 20 m |
その他の地域の距離制限
| 学校、図書館、児童福祉施設、病院、第2種助産施設、診療所(患者を入院させることができる施設) | 100 m |
保全対象施設は「現在ある施設」だけを確認すればいい?
これも注意が必要です。
風営法上の規制では、保全対象施設について、単純に「現在営業している施設だけ」を確認すればよいとは限りません。
法令上、一定の施設については、その施設の用に供することが決定された土地などが問題となる場合があります。
そのため、物件調査では、
「現在、学校がないから大丈夫」
というだけではなく、必要に応じて各行政機関、児童福祉課や保健所、役所の窓口や関係資料などを確認することが重要です。
「前の店が営業していたから大丈夫」は危険

物件探しでよくあるのが、
「以前ここでキャバクラを営業していた」
「前のテナントもバーだった」
「同じ建物で風俗営業をしていた」
というケースです。
しかし、以前の店舗が営業できていたからといって、現在も必ず同じ条件で許可が取得できるとは限りません。
営業形態が変われば必要な許可も変わりますし、地域の指定や保全対象施設の状況、条例などを確認する必要があります。
さらに、過去の営業者が取得していた許可が、そのまま新しい営業者に引き継がれるわけではありません。
そのため、物件を契約する前に、現在の基準で確認することが重要です。
風営法の許可申請では「用途地域」も確認する
保全対象施設の調査と同時に確認したいのが、用途地域です。
風営法の許可では、
「その地域で風俗営業を営業できるのか」
という問題と、
「保全対象施設との距離制限をクリアできるのか」
という問題を分けて考える必要があります。
つまり、
① 用途地域の確認
その場所で営業できる地域なのか?
↓
② 保全対象施設の確認
近くに学校・病院などの規制対象施設がないか?
↓
③ 距離制限の確認
条例上必要な距離を確保できているか?
↓
④ 営業所の構造設備の確認
営業所が構造設備の基準を満たしているか?
↓
⑤ 必要書類を準備
↓
⑥ 風俗営業許可申請
物件調査で確認するべき項目
風俗営業の物件を探している場合は、少なくとも次の項目をチェックします。
□営業する業種・営業形態
□風俗営業許可が必要か
□営業予定地の用途地域
□保全対象施設の有無
□保全対象施設の種類
□条例上の距離制限
□距離の測定方法
□営業所の正確な位置
□建物・敷地の状況
□既存店舗の営業許可状況
□管轄警察署
□都道府県条例
□構造設備基準
特に重要なのは、物件契約前に確認することです。
