レストラン、カフェ、バー、居酒屋などの飲食店のほとんどは、開業するために保健所で「飲食店営業許可」を申請する必要があります。また、店舗を準備する際には主に以下の要件が定められています。個人で判断することが難しい点も多いため、分からないことがあったら当事務所にお問合せください。
1、申請者が以下の欠格事由に該当しない
申請者が過去に食品衛生法に関して処分を受けたり、営業許可を取り消されて2年経過していない。※法人の場合は、役員の1人でもそのような事項にあてはまる場合には許可を取得できません。
2、店舗に専任の食品衛生責任者を設置する
食品衛生責任者とは、お店の衛生環境が法令に適合するように管理する人のことです。お店ごとに必ず一人専任の食品衛生責任者を置かなければならず、複数の店舗の食品衛生責任者を兼任することはできません。他の飲食店から独立するとき、前のお店の食品衛生責任者になっている場合は辞退して、新しいお店の食品衛生責任者になりましょう。
また、食品衛生責任者になるには合計6時間の講習を受ける必要があります。ただし、調理師や栄養士の資格を持っていれば、講習を免除することができます。
講習を受ける時間がない、満員で予約が取れないなど、オープンに間に合わない場合は、申請後一定期間以内に食品衛生責任者を設置する誓約書を保健所に提出することで、飲食店営業許可の申請を行うことができます。
お店の設備や構造については法律で要件が定められていますが、細かい要件は保健所ごとに異なっています。要件を全て満たしているかどうかは保健所の担当者が実際にお店を検査して確認します。保健所ごとに独自の要件が定められていることもあるので、事前にしっかりと要件を確認しておくことが大切です。
主な要件は以下のようになっています。
1、厨房の床が清掃しやすい構造になっている
厨房の床はコンクリートやタイル貼りなど、水はけが良い構造にしましょう。カーペットや絨毯を敷くことは認められません。油などを多く扱う場合はグリーストラップや排水溝を設置しないといけないこともあります。
2、厨房に2層シンクが設置されている
シンク1槽の場合は、幅45cm×奥行き36cm×深さ18cm以上であることが定められています。1㎝でも満たない場合は交換を支持する担当者もいるので気を付けましょう。また、保健所によっては食洗器を1槽とカウントしてくれる担当者もおり、1槽シンクを併設して2槽シンクであると認められる場合もあります。
3、厨房内、トイレ内にそれぞれ「幅36cm×奥行き28cm」以上の大きさの手洗器が設置されている
基本的に厨房内に従業員用として手洗器が一つ、トイレ内にお客様用として手洗器が一つ設置されていなければなりません。多少小さくても認めてもらえる場合もありますので、デザイン性の高いおしゃれな手洗器を設置する際どうしても基準に満たない場合は事前に保健所に相談に行きましょう。
4、手洗器に固定式の消毒器が設置されている
消毒器とはハンドソープのことです。市販のボトル式ハンドソープを置くだけでは認められないため、壁や洗面台に固定するようにしましょう。壁や洗面台の材質が高価な大理石であったり、固定するために穴をあけることが難しい場合は、受け皿を両面テープや接着剤で洗面台に固定して、その上に消毒器を置くことで認められることもあります。
5、厨房と客室が扉等で区分されている
扉はスイングドアやウェスタンドアでかまいません。居抜き店舗の場合は、ウェスタンドアが開いた状態で固定されている場合や、取り外されていることがあるので、確認しておきましょう。
6、厨房内に厨房機器が収まっている
基本的に、冷蔵庫や製氷機、食洗器、オーブンなどの厨房機器は厨房内に収まっている必要があり、客席では原則として食材や食器を置いたり調理をしたりすることはできません。どうしても厨房内に収まらない場合は客席に設置することを認めてくれることもありますが、衛生状態を保てない生物を入れる冷蔵庫は不可など、一定の条件があります。また、ビールサーバーをカウンターに設置する場合は、注ぎ口を厨房に向けなければなりません。
7、冷蔵庫に温度計が設置されている
業務用の冷蔵庫であれば庫外から中の温度がわかるため問題ありませんが、家庭用の冷蔵庫を使う場合は隔測温度計を設置しましょう。インターネット通販などで1000円前後から購入可能です。保健所によっては、庫内に温度計があればいいという場合もあるため、保健所に確認を取りましょう。
8、厨房内に蓋付きのゴミ箱を設置する
ホームセンターなどで売っているプラスチック製のものなどで良く、業務用である必要はありません。
9、食器棚に戸がついている
戸はガラスでも木でも問題ありません。
内装工事の前に、店舗の図面を保健所に持参して担当窓口で事前相談をしましょう。内装工事が終了してから保健所から指摘を受けてしまうと、再度大掛かりな工事をしなければなりません。保健所で事前に確認をしてもらい、工事が完了する少し前に飲食店営業許可申請をして、工事完了のタイミングで保健所の担当にお店に検査に来てもらうというのが一般的な手続きの流れです。
・飲食店営業許可申請書
・営業設備の大要
・平面図
・見取図
・登記事項証明書
・水質検査成績書
・食品衛生責任者手帳または調理師や栄養士の免許証